大判例

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仙台高等裁判所 昭和28年(う)414号 判決

O弁護人の控訴趣意第一の第一点(C)、T弁護人の被告人古宮に関する控訴趣意三及びM弁護人の被告人古宮に関する控訴趣意二(イ)について。

原判決の事実説示によれば、原判示第一の(一)乃至(三)の本件金員はいずれも投票取纏費用として受領したというのであり、原判決挙止の証拠によるも右金員中には受領者に対する報酬等を包含しない選挙運動者に渡すべき買収運動資金として受領したものであることが明かであるから、原判決は公職選挙法第二百二十一条第一項第五号の受交付の事実を認定したものというべきである。尤も、原判決は各金員の「供与を受け」と結んでいるけれども、右は原判決の法律の適用と相まつて原審の法律的見解を表明したに過ぎないものと解するのを相当とする。されば、右事実に対し同法条同項第四号を適用処断した原判決は法律の適用を誤つた違法をおかしたものである。しかして、投票買収のため金員の交付を受けた者が更にその金員を選挙人に供与したときは金員供与罪のみ成立し、金員の交付を受けた点は右供与罪中に吸収せられて別罪を構成しないこと所論のとおりであるか、本件においては被告人古宮が右交付を受けた金員を、原判示第一の(四)(1)乃至(3)、第二の(一)乃至(五六)及び第三の(一)乃至(二二)の各供与の何れに使用したかは証拠上これを明かになし得ず、又前同法条同項の第五号によると第四号によるといずれもその処罰は同一のものとなるのであるから、原判決の右の誤は判決に影響を及ぼすことが明かなものとはいえず、未だ以て原判決破棄の理由となすに足りない。

O弁護人の控訴趣意第一の第一点(B)、M弁護人の被告人古宮に関する控訴趣意二(ロ)及びH弁護人の控訴趣意第二点(ロ)について。

しかし、所論のように被告人古宮が受領した金員合計金二百四十万円中には法定選挙費用に支出された金三十七万円や自動車賃その他正当と認むべき費用に充当された金員を包含していたとしても、原判決挙示の証拠によれば、投票買収資金と前記費用とを一括し、そのいずれの部分が買収資金で、いずれの部分が費用であるかの区別ができない関係において授受されたものであることが明かであるから、その金員全額につき不法性を帯びるものと解すべきである。されば、その全額につき犯罪の成立を是認した原判決は正当である。論旨はいずれも理由がない。

O弁護人の控訴趣意第一の第二点について。

しかし、共謀の成立するには犯人相互の間に明示の意思表示がなくても暗黙の意思の連絡があれば足り、又犯行の日時、場所及び方法等を具体的に特定しないでこれを実行担当者の便宜に任せた場合においても共謀は成立するのであつて、この意味において、原判示第二、第三の各事実特に所論被告人古宮同矢吹の共謀及び被告人古宮同矢吹同佐藤の共謀の点も、原判決挙示の証拠を総合すればこれを肯認し得るのであつて、原判決には所論のような証拠によらないで事実を認定した違法や理由不備の違法なく、記録を精査しても、原判決援用の被告人等の検察官に対する各供述調書の供述記載が所論のように不当に長く拘禁された後の自白であるとは認められず、又原判決の右事実認定に誤謬あることを疑うべき事由は存しない。所論は原判決の援用しない部分の証拠に立脚し、乃至は独自の見解を主張して、原判決に理由不備の違法ありと非難し、延て原判決の事実認定を云為するに過ぎないもので、採用し難い。論旨はいずれも理由がない。

M弁護人の被告人古宮に関する控訴趣意三及びM弁護人の被告人佐藤に関する控訴趣意一(ハ)について。

しかし、苟も判文上共謀の事実を明確にした以上、共謀の日時、場所、内容、実行々為の分担等を具体的に明示しなくとも罪となるべき事実を判示する上において何等欠くるところがないものというべきであるから、これと異る見解を前提とする所論は採用できない。又、共謀の証拠として判決に挙示した数個の証拠の内容に矛盾するところがあつても、苟もこれを総合することにより共謀の成立する事実を認め得る限り、所論のように理由にくいちがいがあるものとはいえない。しかして、所論原判示第二、第三の事実につき共謀関係を肯認し得ること既に説明したとおりであるから、原判決には所論のような違法は存しない。論旨はいずれも理由がない。

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